正倉院の刀剣の金属学調査も手がけた理論派鍛冶
岩崎重義(いわさき しげよし)プロフィ-ル |
正倉院の刀剣類の冶金学的調査も担当
航介氏は病身の身で宮内庁依頼の正倉院の刀剣類の冶金学的調査途中で他界。父の助手として参加していた
重義氏が父の路線を踏襲して報告書を纏める。金属組織の顕微鏡写真多数を掲載した冶金学的調査結果は前
例のなかった壮挙として高い評価を得た。その後、父の工場を受け継ぎ玉鋼の剃刀や切出しを鍛える傍らジェトロ
の依頼で世界各地に鍛冶技術の指導にも行く。また工場には多くの鍛冶が集まりさながら三条鍛冶の共同実験室
の感もある。
正倉院の刀剣
日本の刀剣製作の歴史はきわめて古く、古事記、日本書紀の記載からも推察できる。平安時代に日本刀が完成す
る以前の刀は古墳出土の刀剣が殆どでそのため錆び朽ちているものが多く良い状態で保存されているのは正倉院
所蔵以外には数点しか現存していない。正倉院には太刀・刀55口、手鉾5口、鉾33口。刀子類87口がきわめて完好
な状態で保存されている。これらの刀剣は上古刀研究の絶好の資料であり、また日本刀が完成する前段階に位置
する貴重な刀剣でもある。明治時代に錆を除去するための研磨が加えられました。昭和41年に正倉院に所蔵の刀
剣の刀身に関する全般的な学術調査がなされました。美術工芸面を本間順・佐藤貫一・加島進の三氏に、冶金学
の立場からは岩崎航介氏に調査を委嘱いたしました。岩崎航介氏は調査半ばで急逝されましたが子息重義氏が
これに代わられ昭和43年予定通りすべての調査が終了しました。昭和49年3月にこれらの調査結果は宮内庁蔵版、
正倉院事務所編集、「正倉院の刀剣」として日本経済新聞社から発行されました。
B4版「正倉院の刀剣」
「正倉院の刀剣(押型)」2冊セット
正倉院の刀剣」
図版/単色図版(156P)
顕微鏡写真(76P)
本編(P62)
正倉院の刀身の金属顕微鏡による調査
(P85)
岩崎航介 岩崎重義親子執筆
英語解説(P22) 合計401P
「正倉院の刀剣(押型)」
調査した131点の刀剣の押型を収録
吉川英治と岩崎航介の出会い
朝日新聞に連載される吉川英治の小説「宮本武蔵」の中に描かれている日本刀観のでたらめさに腹がすえかねた
岩崎航介氏は、人を介して吉川英治氏の自宅に直談判に押しかけ、ちょうど居合わせた海音寺潮五郎と吉川に口
角泡を飛ばし刀剣談義をしたところ、吉川氏は真剣に耳を傾けてくれた。得意になって引き上げてきたが、連載の
武蔵が江戸へ出て来て馬喰町の安宿へ泊まるあたりになって、厨子野耕介という貧乏研ぎ師が登場し、先日彼が
吉川に向かって説教したことと同じことを武蔵に向かって説教している。(当時東大工学部副手の傍ら逗子の学校
で教鞭をとり逗子に住んでいた)岩崎氏の意を十分に反映している内容で感謝したが、その後の文章に、その耕介
が相手を武蔵と知って、よもや武蔵様とは知らず、先ほどから釈迦に説法も同様な過言、どうぞ真っ平お許しの程。
とあるのが癇にさわって、私がなんで詫びる必要があるのか、と手紙で抗議すると、すぐ返事がきて「しばらくお許し
あれ」と人柄のにじみ出たような文面で、以後、亡くなるまで交際が続いたそうです。
岩崎重義作 切り出し
籐巻き切り出し 一般細工用に造られたお手頃価格品 ①籐巻き切り出し 大 全長/215mm 巾/24mm 重さ/90g 肉厚/3.0mm ②籐巻き切り出し 中 全長/200mm 巾/21mm 重さ/65g 肉厚/3.0mm ③籐巻き切り出し 小 全長/185mm 巾/18mm 重さ/55g 肉厚/3.0mm 在庫はありません |
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竹用切り出し 大 竹等の硬いものに適したよう な刃角にしてある竹用切り出し 全長/305mm 巾/21mm 重さ/85g 肉厚/3.5mm 竹等の硬いものに使用する場合は 鋭利な刃付けよりも刃先を少し殺し た刃付けの方が細かい刃こぼれが おきにくく使い勝手もよくなります 在庫はありません |
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①切り出し「祥」 全長/245mm 巾/24mm 重さ/185g 肉厚/5.0mm ) ②切り出し「仙」 全長/208mm 巾/21mm 重さ/105g 肉厚/4.0mm 注)表面の凸凹は鍛造時の槌の跡 在庫はありません |
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切り出し「知心」 全長/220mm 巾/21mm 重さ/140g 鋼/玉鋼 肉厚/4.0mm 注)玉鋼は砂鉄からタタラでつくられ た和鋼で日本刀の材料となる。 在庫はありません |
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①切り出し「芽」 全長/222mm 巾/24mm 重さ/200g 鋼/スェ-デン鋼 肉厚/4.5(刃部)~9.0(柄部)mm ②切り出し「転」 全長/220mm 巾/18mm 重さ/80g 鋼/スェ-デン鋼 肉厚/3.5mm 在庫はありません |
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切り出し「好日」 全長/215mm 巾/21mm 重さ/122g 鋼/玉鋼 肉厚/4.0(刃部)~5.5(柄部)mm 在庫はありません |
岩崎重義作鞘付切出し | |
①鞘付き横手切り出し 全長/252mm(鞘別) 巾/19mm 重さ/70g(鞘別) 肉厚/3.0mm ②鞘付き四国切り出し 全長/225mm(鞘別) 巾/23mm 重さ/80g(鞘別) 肉厚/3.0mm 在庫はありません |
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①鞘付き繰り小刀 全長/252mm(鞘別) 巾/19mm 重さ/70g(鞘別) 肉厚/3.0mm ②鞘付き手工切出し 全長/195mm(鞘別) 巾/21mm 重さ/55g(鞘別) 肉厚/3.0mm 在庫はありません |
繰り小刀 刀身 全長/155mm 刃長/135mm 重さ/64g \39,600
日本剃刀(玉鋼)
①日本剃刀(玉鋼)1丁掛け
全長/160mm 刃長/50mm 重さ/31g
②日本剃刀(玉鋼)2丁掛け
全長/182mm 刃長/60mm 重さ/60g
①②共在庫はありません 製造中止
玉鋼と日本刀
日本刀の材料として使われる玉鋼は、島根県の山中で採れる良質の砂鉄を木炭と一緒にタタラという古い形式の炉で吹いてつくります。この方式は日本だけに受け継がれ1000年以上の伝統を持つ独特な技術です。鋼の良し悪しは純度できまります。鋼の中には主要成分の鉄と炭素の他にごくわずかな量ではあるが珪素、マンガン、燐、硫黄などさまざまな異物が含まれています。こうしたわずかな混ざり物は、いずれも鋼の性質を悪くする不純物です。良い鋼をつくるには、不純物の入る途を止めれば良い。不純物の少ない良質の砂鉄を粘土で築いた炉の中で木炭と一緒に処理し、しかも一回の低温加熱でつくられる玉鋼は不純物の少ない世界一優秀な鋼です。世界に誇る日本刀が出来たのも理解できることでしょう。
三条製作所 岩崎切り出し
岩崎氏が製作した品と全く同一の基準で水落良市氏が製作した品々です
岩崎切り出し 仙 |
岩崎切り出し 未 |
岩崎切り岩崎切り出し 芽 |
三条製作所 岩崎の日本剃刀
岩崎氏が製作した品と全く同一の基準で水落良市氏が製作した品々です
岩崎日本剃刀 |